こいぞら。
ごめんね。
「母さん」
「あら翔~。お早う」
拓海はおはよう、と少し恥ずかしそうに返す。
「話があるんだ」
「あら、なによ改まって」
拓海はチラ、と私の方を向いた。
大丈夫、拓海なら大丈夫だよ。
私はそう信じて拓海に頷いた。
拓海も、私の顔を見て安心したように頷く。
「___ 覚えてるかな。母さん」
___ しっかり者の翔の隣にさ、いつもオドオドして頼りないのがいなかった?
___ 頼り、ないの?
___ ...もっと、よく思い出してよ。
___ もしかして。
「...拓海?」
「そうだよ」
「拓海!」
「ただいま」
____ やがて、拓海のお母さんはごめんね、とおかえり、を繰り返して、泣きじゃくってしまった。
拓海は、そんなぐちゃぐちゃになったお母さんの腕の中で、幸せそうだった。
私も、つられて泣きそうだ。
翔ちゃんのことでさえ泣いたことはないのに。
___ 双子の弟に泣かされそうだぞこんにゃろー。
...それでも、嫌な気はしなかった。
____ 翔ちゃんより、拓海の方が自分の中で大きい存在になっていることを、否定出来なかった。