こいぞら。
ばかでしょ。
「 ____ あっ、先、いいよ」
「おう」
私はもう真っ赤だと思う。全身がビリビリしてて、何を言ったらいいのかも分からない。
「あのさ___」
さっきの、ごちそうさまっての独り言?
拓海は結構真剣な顔をして、そう言った。
「は?」
いや、もう、は?としか言いようが無かった。
私がこの後告白しようとしてるのに、お前は何を言っているんだ。
「それでな」
聞く気も失せて白い目で見つめているのに、まだ続けようとするのか。
「独り言多いやつってさ、将来ハゲるらしいぞ~」
いかにも面白い事を言った、というように拓海はニヤニヤと私の反応を伺った。
_____ 呆れて物も言えない。
「あれ、ショック過ぎて喋れない感じ?」
拓海はどうやら、私がショックを受けているのだと勘違いしているらしい。
馬鹿だ、本物の馬鹿だ。
「...あんたさあ」
「なんですか?なんでございますかハゲ子ちゃん♡」
「じゃあ私がハゲても嫁に迎える自信あんの!?」
拓海は目を丸くした。してやったり。
「ハゲだよ~?ハゲ。あ~やだやだ」
これなら何も言えないだろうとドヤ顔をしていると、拓海はぷはっ、と吹き出した。
「____ ねえ、それさ、『ハゲても』ってハゲなかったら迎える前提なの?」
「...うっ、」
私は重大なミスに気づいて、言葉に詰まる。
「まあハゲてもハゲなくても嫁に迎えますよ」
拓海は、私の顔を真っ直ぐに見る。
「ハゲなくても、だよ?」
手を差し出す拓海があまりにも真剣な顔をしているから、なんだか笑えてしまって、
「なんだよその告白」
と毒づきながらも拓海の手を取った。
しっかりと、確かめるように拓海の手を取った。