こいぞら。
こいぞらみあげて。
「____ 付き合うってことはまあよしとして、この先連絡とかどうすんの?遠距離でしょ?」
拓海はんー、とポケットの中を探ってスマホを取り出した。
「lime(ライム)。やってるでしょ?オレあんま見ないけど優香から連絡来たら見ると思う」
「え、嘘。イマドキの高校生は暇さえあればスマホなのに~」
...後半には突っ込まないでおこう。
「こっちはあんまりいじらないかな」
あまり使うのに慣れていないのか、文字を打つスピードが拓海は遅かった。
「えっと...」
『優香』
『はいはい』
私が打つのを見て、拓海が固まった。
「な、なんだそれ!なんで横にスッてするだけで、そんな、え?」
驚いて取り乱す拓海が可愛くて、私は思わず笑ってしまった。
「スライドさせるとね、ほら」
「すげえ...!こんなの知らなかった...!!」
新しいおもちゃを見つけた子供のように、拓海ははしゃいだ。
_____ 拓海に出会って、気づいたことがある。
拓海は、確かに翔ちゃんに似てるけれど、全然違う表情を見せてくれるということ。
性格も全然違くて、時々ムカッとするけど
でもほんとは優しくて、私のことをいつも心配してくれていること。
「_____ 拓海!」
「ん?」
「ありがとね」
「なんてったって拓海なんで」
拓海は、お母さんが付けてくれたこの名前がお気に入りらしい。
だからあだ名で呼んでくれるのも嬉しいけど、『拓海』と呼ばれた方が嬉しいと言った。
あ、もう一つ付け足してもいいかな。
拓海は重度のマザコンです。
「...うん、拓海。空がきれい」
「ほんとだ...。翔が好きだったのもわかる気がするな」
それに、ブラコンかも。結構家族好きだよね。