こいぞら。
くるまのなかで。
「あーーーあ、巧太のせいでおにぎりぐちゃぐちゃ~」
「文句言うなよな!」
ショウ
「ふたりともいい加減にしなさいよ、翔くんと上手くやれるか心配だわ...」
___ 翔?
「翔、くん...?」
私の胸はズキン、と痛み出す。同じ、名前なだけなのに。
「あれ?言ってなかったかな、夏休みの間ご近所さんになる子よ~。高2だったかな?優香と同い年。お母さんがいい人でこの前帰省した時ほら、冬だったかな?仲良くなって~。」
お母さんの話なんてもう、頭に入らなかった。
翔、___ 翔、 翔ちゃん。
名前を聞くだけでこんなにショックだなんて。
_____ 翔ちゃんは、私の初恋の人で。
2年前に、病気でこの世を去っていた。