自殺取り扱い説明書
フェンスを登り降りた深雪は
恐る恐る後ろを向いているクロに近付いた。
「あっ、あの…。」
「ああ!深雪様!お帰りなさいませ。
わざわざありがとうございます。」
ニッコリ笑いながら言うクロは
モデル並みに顔が整っていた。
遠くから見てもイケメンだと思っていたが、近くで見れば破壊力はすごかった。
切れ長の目に透き通った肌、薄い唇の横にはホクロがあった。
かなりイケメンだったが、全てに疲れていた深雪にはそんなことはどうでもよかった。
「深雪様、こちらを。」
そう言ってクロが差し出したのは名刺だった。
真っ黒の紙に白い文字で
『死者捕獲社
クロ』
と、だけ書かれてあった。