自殺取り扱い説明書
深雪はフェンスを越え
フェンスの外ギリギリに立っていた。
ここから一歩踏み出せば
深雪は下へ落ちて行くだろう。
だが、いざ自殺するとなるとやはり恐怖が押し寄せてくる。
「こんな一歩も踏み出せないなんてな…。」
深雪の独り言が虚しく響いた。
「お父さん、お母さん、悲しむかな。」
どんなに呟いても、返事をしてくれる人なんていなかった。
「よし。」
深雪が飛ぼうと決心した時、
「ああっ!ちょっと!待って!待ってくださいっ!」
後ろから声が聞こえた。