千日紅の咲く庭で
「次は、次こそは、その…、二人きりで食事に行きたいです」


結局皆で飲むことになり、大いに盛り上がった飲み会の帰り道。

東谷くんは、今日もこの間と同じように私を家まで送り届けると言って譲らなかった。

いつかの川沿いを2人で並んで歩きながら、東谷君は私にはっきりとそう言って誘ってきたのだった。


いつものちょっとだけふざけた感じではない、東谷君の真剣な低めのトーンの声に、私は正直少しだけ戸惑ってしまう。


「き、機会があればね…」

東谷くんが嫌いなわけではない。
でも、東谷くんのことをこれまで職場の後輩としか見ていなかった私は、そう答えるのが精いっぱいだった。

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