千日紅の咲く庭で
「そうだな。」

なんだか見下されたような岳の口調にますます腹が立ってくる。


「だから、さっきのことだって…東谷くんとのことだって私にとってはっ…!!!」


私にとっては、東谷君との恋愛の始まりだったかもしれないじゃない!!!


勢い任せに岳を見上げて、そう言おうと思ったのに。
続きの言葉は、岳の暖かな唇で塞がれていた。


一瞬、何が起こったのか訳が分からなかった。

私よりも背の高い岳が、私の顔を覗き込むようにしたかと思ったら一気に唇を押しつけてきた。



息が、止まるかと思った。


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