千日紅の咲く庭で
我に返った私は、思わず力任せに岳の胸を両手で押し返して、岳を突き飛ばした。

岳も私が突き飛ばすなんて思っていなかったようで、不意打ちの反撃に少しだけよろけたようにして私と距離を取る。

「ちょっ、ちょっと!!!岳、何してんの!?」


軽い息切れすら覚える私は叫ぶように言ってはみたものの、岳の顔なんて恥ずかしすぎてみることが出来ずに俯いたまま言葉を紡ぎ出した。


「…キスに、きまってんだろ?」

私の動揺なんてしらないとでもいうように、岳は取り乱すこともなく、その答えが当たり前だと言うようにして答えた。


岳の答に呆れた私は、唇を尖らせて岳を睨みつけた。

「だから、何でそんなことするのよ?!」


「花梨が別にキスくらいなんていうから。」
岳は少しだけ考え込むようにして、瞳を泳がせると澄ました様な顔で答えた。

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