千日紅の咲く庭で

ふと気になった庭を縁側から覗いて、私は愕然とした。

驚きと寂しさと悲しさとが一気に嵐のようにして、心の中に駆け抜けてきた気がした。

最後の一口になったトーストさえ、床に落としかけた。
床にぺたりと座り込んで、その場から動けなくなってしまう。

私の目の前にあった庭は、私の小さいころから知っているたくさんの花が一年を通して咲いているではなくなっていた。

この間まで咲いていたはずの庭の千日紅が枯れていた。

ううん。千日紅だけじゃない、ほとんど全ての庭の草花が枯れ果てていた。



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