千日紅の咲く庭で

「俺だって、ただの幼馴染みに彼氏が出来たら一緒になって喜んでやる。でも、相手が花梨だから、幼馴染みが花梨だから、喜んでやれないんだよ」


握られた手首は一気に熱を帯びるほどに熱いっていうのに、岳の言葉は私を一気に悲しみのどん底に突き落としてしまう。


だから、岳の言葉なんて聞きたくなかったのに。

最後くらいは素敵な幼馴染みの関係で終わりたかったのに、そんな岳の言葉を聞いてしまったら岳のことを思い出すたびに胸が痛むじゃない。

岳のバカ。


「東谷くんとは、付き合わないよ。ごめんなさいって断ってきたもん‼……、それより私のこと、そんなに嫌いになっちゃったの？」


「はっ？」
私の発した言葉に、岳は目を見開いて呆気にとられたような表情になってしまった。