千日紅の咲く庭で
「花梨、あのさ俺、花梨のこと嫌ってなんかいねぇよ。むしろ、その逆。」

「逆って…」

私は岳の胸の中から岳の顔を見上げる。

そんな私に気が付いた岳は、私を見つめ瞳を揺らした。

「花梨が好きだ。もう、ずっと前から。」

岳の言葉に、一気に胸の鼓動が早くなる。
嘘なんてついていないのが分かる岳の真剣な眼差しに、私は息の仕方すら忘れそうになってしまった。

ねぇ、岳。
私信じられなくて、夢の中にいる気分だよ。


岳の言葉が嘘なんてないって分かるのに、なんだかやっぱり信じられなくて、何かの漫画のように頬をつねる代わりに岳を力を込めて抱きしめたら、岳は夢じゃないって答えるようにして抱きしめる力が強くなった。
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