千日紅の咲く庭で
「バカ花梨。こんなタイミングで言わせるなよ」
いつもの岳の口調なのに、やけに色気があって甘ったるい気がするのは、きっと気のせいではないと思う。
さっきから揺れている瞳は熱を帯びていて、街灯に照らされた岳は顔を真っ赤にして照れていることが分かる。
「あのね、私も岳のことが好き。」
私を見つめる岳の表情は柔らかだった。
「本当はね、岳との関係が壊れるのが怖くて、この気持ち封印しなきゃってずっと思ってた…」
言葉にして気持ちを伝えたら、なんだか鼻の奥がツンとしてしまう。
「壊さなきゃいいじゃん」
「えっ?」
岳の眼差しは真剣そのもので、それでいて優しく微笑んでいるから私は目を離せずにいる。
「俺たちの関係、壊れないようにすればいいじゃん。ずっと」
ずっと。
岳の言葉に視界がぼやけてくる。