千日紅の咲く庭で
私が頬を膨らませて、いつものように少し睨んで見せたら、岳は私の頭をぐしゃぐしゃにした。


「じゃあ、俺のことはやめておくか?」
岳は私の反応に、意地悪な笑みを浮かべる。

やっぱり、岳もいつもの岳だ。


「やめるわけないじゃん。」

きっと、私の顔は真っ赤だ。
岳が私の答えなんて分かっている雰囲気でからかうのが、少し悔しい。

「花梨が辞めておくって言っても、そんなこと聞くつもりもないけどな」


私の顔は一気に火がついてしまったように熱くなって、動けずにいる。

「それだけ花梨のこと、好きってことだよ。ばか」

もうバカは余計だ。
だけど、岳だって恥ずかしいのだろう。
顔が真っ赤なのは隠せていない。


岳はそう言って笑って、もう一度私に甘ったるいキスをしたのだった。


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