千日紅の咲く庭で
岳の言葉がくすぐったくって、繋がれた手に力をこめると岳は分かったように握り返してくれる。

「付き合ってから好きだとかあんまり言葉にしないじゃん。いつまでたっても幼馴染の延長っていうか、まぁ、それでもいいんだけどさ。でも、小雪相手に嫉妬するって、俺も安心していいのかなって思った」


もしかして、ずっと岳のこと不安にさせてた?

漠然とした不安が私の心を襲ってくる。

「岳のこと、好きに決まってる。多分、付き合う前より今の方がもっと。」

急に立ち止まって、叫ぶように言った私を岳は目を丸くして見つめている。

「岳となら、いつだって早く結婚したいって思っている位だし…」


何言っちゃってんだ、私は。

急に恥ずかしくなって俯いた。岳の顔なんて見ることは出来なくて、語尾をうやむやにしたけれど、きっと岳には聞こえていただろう。

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