千日紅の咲く庭で
「岳、今日も泊まるの?」

すっかり陽も落ちた頃、パソコンとにらめっこをしている岳に尋ねた。

「そのつもり」

私を見ることもなく、パソコンを睨んだままで泊まることが当たり前だというように、岳はぼそりと言う。



「私もう、1人でも大丈夫だよ」

頬を膨らませながら、リビングのソファーで膝を抱えたまま、無理やり口角を上げて笑って見せた私を、岳は鼻で笑った。



「花梨、眠れないくせに何強がってんの?」

一日のほとんどを一緒に過ごす岳にはそれが私の強がりだということはバレバレだったみたいだ。

岳の言葉に私は返す言葉を失ってしまう。

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