千日紅の咲く庭で
◆◆


岳がいない夜が明けた、翌日の昼下がりに岳は我が家へ何事もなかったようにやってきた。

夕食を2人で食べ、並んでテレビを見ていたら岳がふいに口を開いた。


「昨日の夜、俺が居なくて寂しかっただろ?」

「全然。むしろよく眠れた」


嘘ばっかりの強がり。
自分でも分かっていた強がりを口にしたら、岳は少し眉間に皺をよせた。


「嘘ばっかり。俺の前で強がるなよ。バカ花梨」

私を見つめる真剣な岳の瞳に私の鼻の奥がツンとした。



「強がってなんかないもん」

岳に私の弱いとこなんて見せたくなくて、もう一度盛大に強がって見せたら、困ったような顔した岳に鼻で笑われてしまった。

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