千日紅の咲く庭で
「お母さん、私が仕事に出かけたら1人で寂しくないかな?」


岳との間に生まれた気まずい重たい雰囲気に耐えかねた私は、小さく口を開いて、岳に問いかけた。


その言葉もやっぱり私の強がりで。

お母さんが寂しいんじゃない、私が寂しいんだ。


仕事が始まって、本格的に日常生活に戻るとお母さんのことが薄れていきそうで。

お母さんが居なくなったことも、現実として受け入れないといけない気がして。



「今まで無断外泊だってしていたくせに、今さら何言ってんだよ」

岳から返された言葉は、優しい言葉でも甘い言葉でもなく、口調だっていつもと変わらない口げんかする時と同じだった。

私は岳の言葉に、頬を膨らませながら、岳を睨む。

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