千日紅の咲く庭で
おじいちゃんが家を買ってくれたおかげもあったからか、我が家はよくドラマで見かける極貧の母一人、子一人の生活とは少し違っていた。


お母さんがバリバリのキャリアウーマンだったこともあって、裕福ではないにしてもそれなりの生活を送ったし、大学にだって通わせてもらった。


ただ私は、当時で言うところの「鍵っ子」だった。



確かに、夜はお母さんが居ないことも多くて、幼馴染がいる近所の酒屋にお邪魔して、ご飯を食べさせてもらうことも多かったけど。

賑やかな食卓に毎回ちょっとだけ圧倒されながらも、ワイワイ食べる御飯がやけに美味しかったことだけは鮮明に覚えている。


まぁ、それも記憶があるのは、小学生まで。


中学生になると、自分のことは自分で出来るようになって、留守番だって、夕食だって1人で簡単に済ませるようになったから、中学生以降に酒屋に行った記憶はない。


< 5 / 281 >

この作品をシェア

pagetop