千日紅の咲く庭で
「私ね、中学生の頃、岳に彼女が出来たって知った時、なんか寂しかったもん。私の岳がぁって思ったりして。あの気持ち、今よく考えたら、やきもちだったもん。岳の彼女に嫉妬してた」


思いだしたら、なんだか恥ずかしくて、最後の方はちょっと小声になってしまったけど。
今だから言える気持ち。



好きだったかって聞かれたらよく覚えてないんだけど、もうきっとあの頃の気持ちは時効だと思ってこの際カミングアウトしてしまった。


岳は目をまん丸に見開いて、またさらに顔を真っ赤に染めていく。


「か、花梨の方が先に彼氏出来たじゃん」


岳は、くしゃくしゃと髪を掻きながら、困ったような顔をして見せた。


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