千日紅の咲く庭で
salvia
「ねぇねぇ、お姉ちゃんって岳おじさんの彼女?」

小さい頃の岳になんとなく面影のある坊主の男の子が、瞳をキラキラさせて私へ尋ねてくる。



「もう、諒は何言ってるの。お姉ちゃん困ってるでしょ」

美知おばさんが、自慢の手料理を食卓へ並べながら諒くんと呼ばれた男の子へ声をかけた。


「ばあば、怖いぃ」
諒くんはおどけたように言いながら、美知おばさんから逃げるようにして、家中を自由に走り回った。


久々にやってきた郷原家。

今日は美知おばさんに招待してもらって夜ごはんをごちそうになることになった。



郷原家は、少しリフォームされていて私がよく遊びに来ていた頃とは少し様変わりしていたけれど、雰囲気はあの頃のままで、昔のようにやっぱり賑やかで、暖かい。

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