花よ、気高く咲き誇れ
水谷君と連絡先も交換し、隆弘が話に加わったことで非常に不本意だが距離がさらに縮まったように思う。
お互いに良く知らないが隆弘が共通の友人ともなれば、気安さが生まれる。
これほどの収穫はない。
そう、たった数時間でここまで距離を縮められるなんて奇跡だと思う。
実際、ここまで一気に好きな相手と親しくなるなんて早々ないはずだ。
そこで普通は満足する。
でも、私は違った。
いや、満足ではあった。
でも、知れば知るほど、その爽やかさに惹かれ。
見れば見るほど惹かれて。
儚なくて、何かを秘めているようで、何もかもを知りたいと焦るのだ。
そう、焦るのだ。
焦るのだ、もどかしいのだ。
この距離に。
好きだと、もっと近づきたいと心が突き動く。
「……水谷君」
「何?」
その涼しげな目元が柔らかく細まり私を見る。
すっと透き通るその声をもっと近くで聞きたい。
違う彼を見てみたい。
もっともっと知りたい。
「私、あなたのことが好きなの。付き合ってくれない?」
「…………はぁ?はぁ!?はぁ~~~~!!!???」
隆弘の粗野な声が耳で木霊する。
近くで聞きたいのは、こんな声ではない。
水谷君の声だ。
まっすぐに水谷君だけを見ていた。
まっすぐに。