花よ、気高く咲き誇れ
欲しい幸せがあるなら、奪い取ってしまえばいい。
掴みとれる力が、奪い取る力があれば、その力を使えばいい。
その代償を、報いを、いつか受けたとしても。
「行けよ!!頭で考えてばっかりだからダメなんだ!!昔の水谷君は違ったんでしょ!?がむしゃらで無鉄砲だったんでしょ!?今でもガキの精神年齢のくせに老成したふりすんなよっ!!行け!!走って、無茶苦茶で支離滅裂でも良いから伝えろっ!!」
私は水谷君の腕を掴んで、乱暴に立たせた。
不意をつかれた彼はよろけ、私の肩に一瞬触れる。
俯いている私に彼の影が重なる。
こんな時でもドキドキする私は、涙が零れる私は本当に愚かだ。
彼は私の手にハンカチを乗せる。
「やっぱり蓮井さんは、出会った時から変わらない。いや、知れば知るほど惹かれる。夏希以外好きになれないと思っていたけど、違ったみたいだ」
「………水谷君は本当に人の気持が汲めないね。私は嫌いよ。早く行きなさいよ」
これ以上、惨めにさせないで欲しい。
揺らがせないで欲しい。
今更、言ったことを後悔しているなんて悟られたくない。
「…………ありがとう」