花よ、気高く咲き誇れ




「どうせ葵に振られて泣いてんだろ?だから、言ったんだ。やめておけ、って」



「違うわよ!!私から振ってやったんだから!!あんな根暗はこっちがごめんよ!!」



「あいつが根暗なんて、付き合う前から知ってたくせに。バーカ!!ガラにもない格好までして本当にマヌケ。全然似合わねぇだよ!!」



 隆弘はここぞとばかりに、言いたい放題だ。


 失恋した私は黙って……聞いているわけがない。



「はぁ?根が暗くなかったらおかしいだろ!?根っこは土に埋まって野菜も花も育つって知らないのかバーカ!!水谷君は素敵に育ってる!!水谷君の悪口言うなんて、あんたの人間性疑う!!」



「はぁ?お前が最初に言ったくせに。葵とお前はタイプが全く違うんだよ。温室栽培と雑草が相容れるわけねぇ!!」



「知ってるわよ!!だから、彼に近づくため必死になった!!」



「だから、それがバカなんだよっ!!自分を変えて好かれたいなんてお前はそんな腑抜けかよ?お前らしくないだろっ!!」



「隆弘にはわからない……自分を変えてでも水谷君に好かれたい。彼が手に入るなら何でも手に入れるし、何でも切り捨てられる。私らしさ?そんなのクソくらえ!!」



 それこそ、ただ一人の男のために全てを掛けたのが私らしい。



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