花よ、気高く咲き誇れ
「でも、コイツで良いだろ?お前にはコイツのほうが合う。ブランコ乗ってヒールをぶっ飛ばす女に履かれたらヒールも哀れだ」
逆さに散らばっているスニーカーを器用に足で直しながら、そんなことを言う隆弘に笑いそうになった。
「アンタの慰めに救われるなんてね」
私はスニーカーに足を通し、立ち上がった。
目線が低く感じる。
世界が高く感じる。
私は自分で歩き、ヒールを拾い上げた。
そして、その瞬間。
やっぱり野生の勘が疼いたのだ。
私はまたヒールを履いて駆け出すのだろう。
同じ目線で世界を見たいから。
見上げるのではなく、同じ目線で笑い合いたいから。
【完】