花よ、気高く咲き誇れ




 水谷君は驚いた表情をしたが、私から視線を逸らすことはなかった。


 やっぱり、草ではない。


 草っぽくても草ではない。


 そうでなければ、こんなにまっすぐ私の気持ちを受け止めたりできるはずがない。



「ありがとう。でも、今はそういうこと考えられないんだ」



「わかってる。正直言うと、私も今日言うつもりはなかった。思いつきで。あっ、でも誤解しないでね。水谷君が好きなのは本当だから」



 それに対して、水谷君は、ありがとう、と微笑む。


 馬鹿隆弘は未だに唖然として、状況についていけてない。


 器の差か、精神年齢の差か。



「水谷君のことが好きな女が一人いる、ってこと忘れないでね。これから、口説いていくから逃げるのはダメよ」



 指を突き刺して言うと、水谷君はおかしそうに笑うのだ。


 その笑顔は爽やかだけど、社交的な笑みではないことが私にはとても嬉しかった。










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