花よ、気高く咲き誇れ



「……ハナ。やめておきな。無駄よ」



「そんなのわからないじゃない?……って、何が?」



 先崎千里の後をつけながら尋ねると、やっぱり冷たい声。



「宮原さんのことは諦めろ、ってこと」



「はぁ!?な、な、何言ってんの!?違うわよ!!」



 親友の勘違いに大声を出したら、先崎千里がこっちを見た。


 しまった、と思ったが遅い、こっちに向かって来る。


 だが、それは私ではなく綾香を見つけたからであった。



「千里さん。こんにちは」



「こんにちは!綾香ちゃん、ちょうど良かった。これ参考になると思うから渡したかったの」



 猫かぶりが発動され、私への態度とは違うにこやかな笑顔を作り、本を受け取る綾香。



「ありがとうございます。あ、この子。私の小学時代からの友人で宮原さんと同じゼミなんですよ」



 にこやかに敵の前に押し出す綾香に、不意を突かれ私はよたよたとふらついた。


 遠目で見るよりさらに背が小さかった。


 170センチある私の肩ぐらいまでの身長。


 服装はワンピースでさらさらだけど寝癖で跳ねている黒髪。


 そばかすがやけに目立つ、あの宮原さんの彼女というから美人を予想していただけに肩すかし。



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