花よ、気高く咲き誇れ
「先崎さんまではいかなくても綾香みたいな女性になれるかな?」
「男っぽい格好してるだけでハナは顔は綺麗だからどうにでも化けられると思うけど」
「だよね!!そうよ、可愛い系は無理でも綺麗系目指そう。そうすれば、水谷君も。そうよ!!」
「水谷?あー彼ね…………なるほど、それで先崎さんか」
察しの良い綾香だからこそ、一人で突っ走る私の親友が務まるのだ。
「水谷君のことも知ってるのね。それならもっと早く出会えたのに!!」
「顔だけよ。話したこともないわ。ふーん、ハナが水谷君ね」
「やっぱり、水谷君って先崎さんに気あり?」
「先崎さんにご執心なのは確かね」
「これは宮原さんにしっかり先崎さんを掴んでてもらわないと!」
先崎さんには綾香。
宮原さんには私が目を光らせておけば、何か異変があった時にすぐわかる。
「水谷君が宮原さんに決闘申し込んだりしてね」
とんでもないことを言いながらも、どうでもよさそうな綾香の声にムッとする。
「宮原さんは何気に強いから、水谷君なんてコテンパンにやっつけるわよ。それはそれで諦めてくれるから良い案かも」
私が思案しつつもにんまり笑うと、綾香は呆れたように肩をすくめた。
美人が何をしても様になるとはこのこと。
「あんたも曲者だけど、水谷君も曲者だと思うわよ。気をつけなさい」
「……話したこともないのに。お得意の勘?」
「そう」
綾香はフォークをそっと置いて、私を見る。
彼女の勘は良く当たるのは親友である私が一番よく知っていた。