花よ、気高く咲き誇れ
第1章
変わる変わる、何もかも
「おい、ハナ」
学食で一人遅い昼飯を食べてると、腐れ縁という名の幼馴染、本間隆弘が偉そうに私の名を呼んだ。
「あんたの顔をここでも見ると思うと宿命を呪いたくなる」
「はは~ん。この俺の才能に嫉妬してるな?少し本気を出せばこんな大学楽勝!」
私が男勝りになったのは兄貴二人とこの隆弘とその兄貴のせいだと思っている。
やんちゃに混じればやんちゃになるのは世の常。
しかし、私は県内でも有数の進学校。
隆弘は公立の人気校であったがスポーツ馬鹿で脳の皺は数少なく。
頭の良さだけは我々に隆弘だけが混じることができなかったのだ。
それなのに、大学が同じだとは、しかも同じ現役。
どうしてこんな馬鹿と、と私は合格通知を手に項垂れたことを鮮明に思い出して、眉間に皺を寄せる。
「何が才能よ。廃人になるまで勉強して手に入れただけの、凡才のくせに」
「ほっとけ」
「何でここに座るのよ?」
目の前が隆弘だなんて、小さい頃のお決まりパターン。
「ここしか空いてないからだ。友達が来るから、お前の相手なんか頼まれたってしねぇーよ」
それだけ言うと、豪快にチャーハンに喰らいつく隆弘。
「あっそ」
互いに無言で口を動かすが学食の賑やかな音から静寂とは程遠い。
私は麺をすすりながら何となく隆弘へと視線を向けた。
隆弘は昨今の平べったいだけの男とは違う。