花よ、気高く咲き誇れ
泣きたいのは
水谷君に誘いを断られた3限。
一人でゆっくり食事がしたくて学食に足を運んだ。
視界に入ったのは必然か偶然か。
隅っこで向い合せに座る男女。
4学年である彼女は就活もあってだろうが、めったに顔を出さないから、水谷君のご執心と知っていても、どこか記憶の隅に追いやっていた。
先崎さんには宮原さんもいるわけだし、何より自分の醜い感情を見たくなくて意識しないようにしていたのに。
あんな表情ができるんだ。
どうしようもないほどの疎外感が私を襲った。
誰にでも優しく接する水谷君。
私みたいなガサツな女にも、先崎さんみたいな可愛らしい人にも、同じく接すると思っていた。
そう、先崎さんだけが特別。
遠くで立ち尽くす私なんて目に入らない。
いつもなら、周りも良く見る彼なら気付いて微笑みかけてくれるのに。
彼女といる時は、彼女しか見つめていない。
疎外感が嫉妬という感情に飲まれて、私は二人に背を向けて駆け出した。