花よ、気高く咲き誇れ
胸が痛むことはない。
ただ、水谷君に違和感を持った。
悪意を秘めた言葉とそれ以上に、いつものように笑みを浮かべながらも見たこともない強張る表情に。
何かに怯えているようで。
普通なら宮原さんの威圧的な態度に怯えていると思うが、水谷君は違うものを見て、違うものに怯えている。
野生の勘だ。
「凪君。え、えっと。ごめん。でもね。葵君ともう少し」
宮原さんは先崎さんへと視線を向けるが、それもすぐに水谷君に戻ることとなる。
「千里。こんな分からず屋とは別れれば?」
はぁ!?
もはや、水谷君の言葉に三人して呆気に取られた。
そんなことには、構わず水谷君は先崎さんを真っ直ぐに見る。
「別れてよ。どうして宮原さんと付き合うの?どうしてよりによって」
「葵君……」
「ちょ、ちょっと、宮原さん落ち着いて!!!!」
私は宮原さんをがっしり掴んだ。