花よ、気高く咲き誇れ
「ダメだ。千里。帰るぞ」
さっきと違い、もう人さらいのように先崎さんの腕を掴んで立たせる宮原さん。
「…ね、凪君。私にだって、意志があるの!」
おっとり気弱な先崎さんが、初めて見せる意志の強さだ。
宮原さんを見つめる瞳は、どこまでも真っすぐで有無を言わせない。
たじろぎ、息をのんだ宮原さんの顔から怒りは消えたが……
「……水谷君のことが好きなのか?」
もはや呆然自失、灰になりかけ一歩手前の宮原さん。
先崎さんの返答次第ではこの場で自決しかねない。
「俺は千里のことが好きですよ。だから、別れてください」
そんな中、一人涼しげな水谷君。
やんわりと、宮原さんの手を先崎さんから離させようと手を触れたら。
案の定、電撃ショック……ではなく、電光石火のごとく手を弾かれる水谷君。
水谷君の発言で宮原さんが復活したのだ。
宮原さんの手が先か、口が先かと思っていたら……
「葵君!!いい加減にして!!凪君は関係ないでしょ!?ち、違うの。凪君。本当に違うの!ね、本当によ?私は、凪君が好きなんだよ」
もはや、テンパり涙を目にためながら全身をバタバタ奇妙に動かしている先崎さん。