花よ、気高く咲き誇れ



 その姿は本当にヘンテコで、だけど可愛く映った。


 私の目にも。


 こういう子が好きなんだ。


 今は考えられない、なんて紛らわしい言い方なんかやめてよ。


 先崎さんが好きだ、って言ってくれれば、こんな風に私まで傷つくことはなかったのに。


 こんな場面見なくて済んだのに。


 ふざけんな。


 私だって泣いてしまいたい。


 目に涙を浮かばせて暴れてやりたい。


 ちゃぶ台を100台はぶん投げたい。


 拳をぎゅっと握って俯いているだけなんて。


 それでも、今1ミリでも身体を動かしてしまえば、この痛みに耐えられなくなってしまう。


 経験したことのない痛みに、これ以上傷つきたくなくて必死に石のように固まる。


 そんな私と対照的に宮原さんは、ほっと息を吐いた。



「落ち着いて。千里。わかったから」



 ぽんぽんと頭を優しく撫でられると、ヘンテコ動作は収まり息切れで肩を揺らす先崎さん。



「あ、あのね。葵君とは、いとこなの」



 あ?



 私は思わず顔を上げ、先崎さんの肩を揺さぶった。


 宮原さんを体当たりで押しのけて。



「そ、それは本当でしょうね!?」



「は、はっ、は~いぃ~」



 何でも先崎さんの母方のいとこが水谷君。


 お盆とかに家族ぐるみの付き合いがあったが、ここ数年は行き来がなく、水谷君の入学で久しぶりに再会したらしい。



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