花よ、気高く咲き誇れ
元から歳が近く仲良しで、同じ大学に入ってからはちょくちょく会っているとか。
「どうして今まで言ってくれなかったんだ?」
水谷君への敵意も取れ、むしろ、バツが悪そうに二人を交互に見る宮原さん。
「それは…………」
「いいよ。千里。言っちゃえば?俺が宮原さんが嫌いだから、って」
言い淀む先崎さんとは対照的に水谷君はまたまたとんでもないことを言った。
今日の、というより今の水谷君はいつもの水谷君はではない。
もうバレたならどうでもいいと言ったような投げやりな言葉。
「千里に誰にも言わないように口止めしたんです。あなたのそのすまし顔が崩れるのが見たくて」
「俺は君の気に障ることしたかな?」
あからさまな敵意に宮原さんは困惑しながらも慎重に言葉を選んで話す。
対照的に感情的と言えるほど、思ったことを口にする水谷君。
「ええ。あなたの存在自体が。千里と付き合ってるのを知ってなおさら嫌いになりま……」
一人だけ席に座り、すまし顔で頬杖を突いていた水谷君に突然のビンタ。
小さな手から繰り出されたビンタは見事にクリーンヒットし小気味良い音がした。
これまた唖然とさせられた私と宮原さんなんか、ほっとかれる。
このいとこコンビは人を唖然とさせるのが趣味なのだろうか。
黙り込んで俯く水谷君を見下ろす先崎さん。