花よ、気高く咲き誇れ
もういい!?
あの日から一週間後。
いつも水谷君と確実に会えるのは三限がお互いにない、この瞬間。
でも、今回はいつもと違って、水谷君から私を誘ってくれた。
それは、先週のお詫びであることはわかっていたが、それでも嬉しくて私ははにかんだ。
水谷君に恋をしてから、こんな風に笑う自分を知った。
ちょっと前までの自分は、恋をしていない自分はつまらなかったのではないかと疑ってしまうほど、色んな表情、感情を覚えた。
だから、そのお礼に。
そう、水谷君にも私といることで知らない自分を見つけて欲しい。
そして、隆弘が話す水谷君のように、馬鹿なことで騒いだり、あっぴろげに笑って欲しい。
何に怯えることもなく。
「この間はごめん。変なところ見せちゃって」
バツが悪そうに眉を寄せる姿はいつもの水谷君。
「ううん。部外者なのにあの場にいること自体がおかしかったわけだし」
軽く笑うと、水谷君はふっと力を抜いて私を見つめた。
この瞳の奥に隠れているものを見せて欲しい。
この人の何もかもが知りたい。
私を心の中に入れて欲しい。
自分らしさなんかなくなっても構わない、彼が手に入れられるなら私はどんな風にだって変わって見せる。