花よ、気高く咲き誇れ
「すごいお兄さんなんだね!水谷君と似てるってよく言われない?」
「言われるね。昔の蒼……兄貴を見ているみたいだって」
水谷君の様子がおかしいことに気付いて、少し場を和ませようと笑って見せた。
「それ自慢みたいよ?隆弘から聞いた。高校時代から女の子にモテて、何でもできた、って」
「でも、兄貴には適わない。コンプレックスを持って生きてきた。どんなに足掻いても兄貴には届かなくて。兄貴の模造品でしかないんだ」
水谷君はおどける様に肩を竦ませて見せたけれど、私はそれに笑うことができなかった。
「お兄さんって、随分歳が離れているんだって?それなら仕方ないじゃない?」
歳の離れたお兄さんに勉強にしろ運動にしろ適うはずがないではないか。
「そうだね。でも、何をやっても兄貴がついて回る。一つでも勝てるものが欲しくてさ」
可笑しそうに懐かしむように、バスケ、と口にした。
「兄貴、バスケだけは何だか上手くいかない、って話してて、だから、バスケだけは、って小さい頃思ってさ」
私と隆弘の兄貴がバスケをしていて、私や隆弘もそれに倣いバスケをしていた。
共通点と、飛びつくところだが水谷君の話の腰を折るようなマネはしない。