花よ、気高く咲き誇れ
「って、汚ねぇ!!てめぇ、俺のチャーハンどうしてくれる!?」
「あ、あんたが、馬鹿なこと言うからでしょ!?何で私が隆弘と!?この世にあんたと二人になってもありえないわよっ!」
席を立ちあがり、私は興奮状況で喚いた。
あまりに突拍子もない発言は、やはり馬鹿隆弘。
「……はぁ!?お前が俺がタイプって言ってきたんだろうが!?このモテる俺様に向かってハナが生意気な!」
「ひいたッ!ばゃかたかひゃろ!はなしぇっ!」
「隆弘。ごめん。もしかしてお邪魔かな?」
私の口を引っ張る隆弘の髪を掴み上げて、頭を思いっきり叩いてやろうと手を振り上げた瞬間、すっと軽やかでさわやか声が耳に入り込んだ。
そこには、でかい隆弘よりは少し低いだろう?
でもそれでも背が高くて、すらっとしなやかな身体、そして、声と同じく涼しげで繊細な容姿を備えた顔が私へと飛び込んできた。
「葵。お前、遅せぇーよ。おかげでこんな馬鹿と話すハメになっただろ?」
「随分楽しそうで遠くから眺めてたんだけど、このままだと俺のこと忘れ去られそうだったからさ」
そんな二人の会話はほとんど聞いていなかった。
だけど、このざわめきの中でも良く通るその声に私は聞き入っていた。
そう、今にして思えばこの瞬間から私は恋に落ちていたのだ。
寝ても覚めても。
明けても暮れても。
咲いても散っても。
終わることがない恋を。