花よ、気高く咲き誇れ
あんたはデキる子
「あ?葵?」
重たいドアを開けてずんすん進むと、隆弘が訝しげに見た。
「すみませーん。彼も仲間に入れてください」
大声を張り上げると、いいぞーと気前の良い声。
「ハナ。お前、無理やり葵引っ張ってくるなよ。こいつ、バスケはやらないぞ」
「いいの!たまには身体を動かさないと!ね、水谷君?」
有無言わさずの私の視線に水谷君は苦笑した。
「ずいぶん、ハードなことやらそうとするね」
それは肉体的なのか、はたまた精神的に?
どちらでも良かった。
「そう、私は鬼なの。草みたいにそよいでいる人間を檻にぶち込みたくてね」
水谷君は一瞬、唖然としながらもおかしそうに笑ってくれた。
ほら、先崎さんとは違うかもしれないけど私だって彼を笑わせてあげることぐらいできる。
「隆弘。お邪魔だろうけど良いかな?」
「別に、お前が良いなら。服貸すから着替えて来いよ」
水谷君が控室に入ると、隆弘は私にため息を零した。
「お前な、あいつはサッカー少年だぞ。中高ともにな。自分の趣味に巻き込むなよ」
隆弘にも話していないのなら、私から話すこともないだろう。
「良いじゃない?ほら?女の子も喜んでるし」
爽やかな水谷君に女の子は小さな歓声を上げている。