花よ、気高く咲き誇れ




 歓声ではなく、ただマヌケに口を開いていた。


 水谷君の性格からして、常に周りを見ていい具合にパスを回すかと思いきや。


 自ら、ゴールを狙う。


 それこそ、無茶苦茶なほどに。


 それが、決まるのだ。


 何故!?と思うほどにフェイクを使ったり足の速さで置き去りにし、点を自ら取りに行くのだ。


 唖然していたのは私たちだけではなくサークルのみんなも同じこと。


 それも数分で、敵チームも冷静さを取り戻し、水谷君は当然のごとく厳重なマークに合う。


 さすがの水谷君も攻めきれずパスを回すが、まだ一人だけ冷静でない私はそれを許さなかった。


 またパスを回すぞと思った瞬間、大きく息を吸い込んだ。



「水谷ぃ~~~~!!!ガチンコいけぇぇーーー!!ぶちかませぇっ!!!!」



 と自分の鼓膜も破れんばかりに叫んだ。


 その声に敵は一瞬隙を見せ、水谷君はあっという間に置き去りにして、最後の一人もかわし、ゴールを決める。



「最高っ!!スゴいっ!!あんたはデキル子!!よくやった!!」



 そう叫ぶのと同時に試合は終わる。


 水谷君にタオルとスポーツドリンクを手渡そうと自分のスポーツバッグを漁っている間に隆弘に先を越されてしまう。


 むっとしながら、馬鹿隆弘に文句を言おうとしたが隆弘のいつになく真剣な目に言葉は出てこなかった。



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