花よ、気高く咲き誇れ
「葵。休んだら1on1やろうぜ」
口調だけは砕けていたが、その真剣な目は変わることはなかった。
言わば、直接対決。
サークルの威信か水谷君の威信か。
正直どちらにもつけない。
隆弘のバスケへのプライドだって知っている。
飽き性の隆弘がバスケだけは続けてやっているし、運動の中でもバスケには一番自信を持っている。
水谷君にとっては、お兄さんへのコンプレックスの象徴のようなバスケ。
どれだけ練習しても一度も勝てないまま終わってしまった。
止めることなどできるはずもなく、二人がコートに行く姿を嫌な気持ちが胸に渦巻く。
試合なら十中八九、隆弘の勝ちだろう。
水谷君はワンマンプレーだった、相手チームに隆弘がいたなら水谷君をしっかり止めていただろう。
でも、個人戦となると僅かに水谷君に分があった。
部活で仲間と切磋琢磨した隆弘。
公園で日々、勝つためだけに練習していた水谷君。
体力がない小学生時代に対お兄さん用の作戦が功を奏している。
最初は拮抗していても、時間が経つにつれわかる両者の違い。