花よ、気高く咲き誇れ
水谷君は呆然とした顔を歪めた。
それは今にでも泣き出しそうな顔で、私はぎょっとして手を止めてしまうが、それも一瞬で身体が固まる。
私の肩に額を預ける水谷君に。
「……ずっと前に。蓮井さんと同じく頭を撫でくれた人がいたんだ。頑張ってる、って。誰よりも努力してる、そう言ってくれて。それに俺は救われて……。だから頑張ってた。褒めて欲しくて頑張ってた」
「み、水谷君……?」
「ありがとう。蓮井さん。本当にありがとう。蓮井さんはやっぱり人の機微に敏い。すごい人だ」
「………………」
告白するつもりなんてなかった。
だって、水谷君は確実に私の隆弘に対する行為を怒っていた。
追いかけたのは弁明のためではない。
でも、このままにはしておけなかった。
だから、追いかけた。
今、言った言葉はとっさではあったけど嘘ではない。
思ったままを言った。
次に会った時に気まずさが残らないように追いかけただけなのに。
そんな顔されたら。
そうやって涼しげに本当の笑みを私に向けられたら、私は…………。
「私は水谷君が好き。あなたが自分を嫌いでもあなたが好き。絶対に後悔させない。だから……」
湧きあがって来る感情に頭が言葉が追いつかない。
どうしようもなく私の心をかき乱す。
最期がどうしても言えなくて、感情が高ぶって涙が零れそうになった。
ああ、本当に私は恋する女の子になってしまったのだ。
「蓮井さん。俺と付き合ってくれませんか?あなたにふさわしくはないけどふさわしくなりたいと思う。だから、俺と」
付き合ってくれませんか?その言葉と同時に私の目からは涙が零れ落ちた。