花よ、気高く咲き誇れ
「そのままよ。水谷君がOKしてくれたから付き合うことになった」
「あ、葵が?嘘だろ……?」
「何?私が嘘ついてるとでも?」
「おかしいだろ!!葵がお前のこと好きなはずない!先崎がいる」
「あの二人は身内。あんたの勘違いだったのよ」
そう、ただの勘違い。
いとこだから親しいだけ、気を許しているだけ。
そう自分に言い聞かせる。
「それでも、お前のことを葵が好きだって言ったのか?」
わかってる。
付き合ってくれたからって、好きとは限らないことくらい。
私を人としては好きでいてくれているだろうけど、女としてではないことくらい。
それでも、チャンスを与えてくれたのだ水谷君は。
「……あんたには関係ない」
「葵はお前のこと好きじゃないのに、それで良いのかよ!?プライドはないのか!?」
「邪魔しないで。お願いだから隆弘。邪魔しないで。私は本気なの。水谷君がどうしても欲しいの。だから、お願い。邪魔しないで」
「ハナ……お前……」
「水谷君に余計なこと言ったら許さないから。私の幸せを奪うようなことしたら絶対に許さない。一生、あんたを許さない」
気心知れた幼馴染だって、いや、だからこそ、私の恋を奪うようなことをしたら私は隆弘を絶対に許さない。
私の本気が伝わったのか、隆弘は勝手にしろ、と吐き捨てて部屋を出て行った。