花よ、気高く咲き誇れ
恋する女
「おはよう、蓮井さん」
「お、おはよ」
私は自分の髪の毛を撫でた。
乱れていないだろうか?
化粧は崩れていないだろうか?
初対面でボサボサ髪と化粧っ気のない顔を見られているのに、今さらかもしれないけど。
だけど、付き合えた今、可愛く、おこがましいけど少しでも可愛く見られたい。
昨日はあのまま別れてしまったから、今日がお付き合い初日。
こうして偶然ではなく待ち合わせるのも、恋人同士っぽい。
緊張している私に気付いたのか、水谷君が色々話してくれる。
いつもなら私がぺらぺら話すのに。
そういう気遣いがこそばゆい。
「今日は寝坊でさ。朝食、作ってる暇がなかったんだ。ごはんに付き合ってもらっていい?」
「私は食べたけど。もう、お腹が減った」
育ち盛りだ、と笑う水谷君につられて笑う。
ほわほわして心地良い。
さらっとした、何気ない会話がこんなにも心地良い。