花よ、気高く咲き誇れ
「明日、お弁当を作るの。だから、邪魔しないで!!美味しいもの作って見返すんだから」
三人を一人一人睨み付けて制する。
彼氏に驚き、私が料理することに驚くのは良くわかる。
それでも、私は女なのだから気を遣って欲しい。
「もしかして、隆弘の友達とやらか。付き合えることになったのか!!何という強者だ。勇敢なる男だ!!」
兄貴は箸を口から引っこ抜き身を乗り出した。
ああ、やっぱり水谷君に比べると濃い顔。
マヌケ面さえなければ精悍で男前ではあるけど。
自分の兄の査定をぼんやりと頭の中でする。
「まぁ!その彼と付き合えたの?女の子に見て欲しくて、ハナが女装し始めた時はハラハラしたけど。実って良かったじゃない!!」
「……お母さん、私は生まれた時から女なんだけど」
「ハナが女の子になる日がくるなんて。しかし、いかんぞ。ハナ。慣れないことをして彼氏を殺してはいけない」
「……お父さん、そのままごはんのどに詰まらせておいてくれないかな?」
テンションが下がっていく私に対して、三人は大盛り上がりだ。
交際を反対されるよりはマシなのに、何故か気に食わない。
この際、水谷君だけでなく家族もろとも、見返してやる!!とごはんを頬張った。