花よ、気高く咲き誇れ
どうして好きなんだろう
「どうしたの?」
じっと私に注がれる視線に嫌にドキドキしながら水谷君に問う。
「蓮井さんは綺麗になったな、って思ってさ。今日言われたんだ。蓮井さんみたいな美人な彼女がいて羨ましい、って」
ずいぶん変わったな、って思ってね、と私に優しく涼しげに微笑む水谷君。
彼のその笑い方のほうがよっぽど綺麗だと思う。
涼しげなその姿に、私は縛られる。
彼と一緒にいられるなら、他には何もいらないと思わせてしまう、毒牙のようだ。
「水谷君に良く見られたくて、頑張ったんだけど、その辺りはわかってる?」
彼と付き合い始めてもう半年。
寒さも本格的になって、今こうして話しているのも水谷君のアパートのこたつの中。
彼の家の中には私のものが至る所にある。
お茶碗とか歯ブラシ、着替え、合鍵だってもらって水谷君がいなくても勝手に入り浸ることができる。
そんな関係。
当たり前がひどく幸せで、きっとそれがもっと好きになって欲しいと私を突き動かす。
「ずいぶん、ストレートな告白だね。普通、そういうの黙ってたりしない?」
付き合い始め、可愛らしい女の子でいようと試行錯誤していた私に水谷君は。
「蓮井さんには今のままでいて欲しい。あんまり大人しくされると逆に俺が気疲れしちゃうよ」
そう笑った。