花よ、気高く咲き誇れ
それからは外見や料理は努力をしても性格を変えようとは思わなくなった。
ありのままが良いと思っていてくれるなら、それが私は一番嬉しい。
「黙ってたら、水谷君気付かなそうだから。美人の彼女を持ってることさえ気付いてなかったでしょ?」
だから、こんな冗談交じりのとりとめのない会話ができるし、こうして二人きりでいることがとても心地よい。
「実を言えば、他人から言われて気付いた」
そう意地悪に楽しそうに笑う水谷君にクッションを投げつける。
「四六時中、蓮井さんを美人だなんて思ってたらドキドキしすぎて身が持たなくなってるよ」
そう言って私を優しく抱きしめた。
髪に優しく口付けが落ちてくる感覚にぼんやりしながら、髪の毛を伸ばして良かったと思う。
バイト代はほとんど自分磨きに費やしていることもあって、今の私はそのあたりの女に負ける気がしない。
彼女が私となれば、みんなが指を加えて羨ましそうに見るだけ。
威嚇には大成功というわけだ。
こうやって広い胸に抱きしめられると、何も言えなくなる。
何も考えられなくなる。
誰を傷つけてもこの場所は手放せないと彼をぎゅっと抱きしめた。