花よ、気高く咲き誇れ



「……さ…………………よ」



「…ん~水谷君?」



 何かの物音に寝ぼけ眼に彼の名前を呼ぶ。


 しかし、隣には彼の姿はなく、温もりだけが残っているのみ。


 来客だろうか?



「散らかってるんでしょ?いいから、これ冷蔵庫に入れて!」



 女の声に一瞬で覚醒する。


 私は起き上がり、髪を掻きむしった。


 これは私に喧嘩を売りに女が押しかけてきたのだろうか。



「ちょ、ちょっと。母さん!!待てよ」



 へ?


 母さん?


 そう思った瞬間、部屋へと続くドアが開き、目が合う。


 恐らく、水谷母と思われる人物と。



「………………」



「………………」



「……母さん、お願いだから出て行って」



 水谷君は大きな手を額に当てながら、ため息を吐いた。


 私はその瞬間、さっと青ざめた。


 さ、最悪!!


 彼の母親の初対面がこれ!?


 化粧どころか、寝起き顔に寝起き髪。


 というか、それ以上に大問題が。


 彼のベッドで寝ている上に、だらしないこの寝姿。


「あ、あの。……申し訳ありません」



 お互いに唖然とした私たち。


 とりあえず、間を持たすために謝ってみるが。



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