花よ、気高く咲き誇れ
「ハナさんは何故、あんな無神経ぶった態度を取るのかしら?」
綾香はやっぱり、感慨ない口調でそんなことを言う。
「無神経?何それ。いつも私と隆弘はああだったじゃない!」
「言ったでしょ?敏くて嘘が下手なハナ。無神経を演じてまで隆弘に嫌われようとするのは何故?」
「………………」
「気付かないフリをしていればいつか笑えたはずなんでしょ?」
綾香の方がよっぽど無神経だ。
何でも知っているかのように話す姿は、時折癪に障る。
「……綾香。あんた、千里眼気取り?」
「まぁね。優しいハナちゃんは隆弘の幸せを願っているのかしら?」
「幼馴染よ。幸せを願って悪い?」
私の冷ややかさなんて何も感じていない綾香はいつもと同じで抑揚も感情もない。
すまし顔も崩さない。
「自分の幸せが一番だけどね」
私は幼馴染より水谷君を取る。
隆弘が大事じゃないわけじゃない。
大事な幼馴染だけど、それ以上に私は。
「それはそうでしょう。人間なんだから」
綾香はやっぱり少しおかしそうに笑みを浮かべるだけで、ここまで表情を崩さないで相手に何も悟らせない自制心に私はお手上げだ。
「倉木先輩を使って、昼ごはんを奢らせようと思ったのに、ハナがフるから自腹じゃない」
「綾香サン……どこまで非道なのですか?」
私は自分を真っ直ぐな人間だと思っていた。
だけど、違った。