花よ、気高く咲き誇れ

「葵君は自分のことを否定してばっかりだから。昔はそんなことなかったんですよ。蒼君に対抗心燃やしてて。誰よりも努力をしていて。でも、諦めてからは、ずっとあんなで」



「それでも私は水谷葵が好きです。どんなに情けない敗北者だとしても変わりません」



　何を宣言しているのだろう？


　こんなことを言いに私は先崎さんを呼んだわけではないのに。


「情けなくても好きだって言ってくれる蓮井さんは葵君にとって特別です。私も今まで葵君にとって特別な存在でした」



「……それは水谷君が先崎さんを好いていたということですか？」



「いいえ。私が葵君の初恋の人と似ているからです。私は良くわからないんですけど、みんながそういうから、たぶんそうなんだと思います。だから、私に固執しているところがあったけど今は全然。蓮井さんが葵君の傍にいるようになったら私なんか用無しみたいです」



　少しおもしろくないんですよ、なんて頬を膨らませながらも、すごく嬉しそうに笑う先崎さん。


　ほわほわ笑っていたかと思うと真面目な顔に戻して、再び私の方へと向き直った。