花よ、気高く咲き誇れ
「私が話せるのはここまでです。蒼君との間に何があったのかも何となくはわかるけど聞いたわけじゃないから憶測の域を出ないです。それに……」
「知りたいなら直接水谷君に聞くべきなんですよね?」
彼女の言葉を先取りして言ってみせると、その通りですと頷いてみせた。
「やっぱり、葵君が選んだ人だ。蓮井さん。その凛とした姿が葵君を立ち直らせるきっかけになると私は思います」
ただのいとこのことなのに、本気で心配をしている先崎さんはお人好しだ。
これでは宮原さんも不安で仕方がないだろう。
喫茶店の外で何でもないような顔しながら待っている彼女バカの先輩に私は電話をかけた。
お邪魔虫は退散だ。
何だか、いつも以上に早く水谷君に会いたくなってしまった。
『智子さん!?』
『この間は、ありがとう。今平気かしら?葵は?』
突然の電話に私はゲームの電源をセーブする前に落としてしまった。
水谷君に怒られるなと冷静な判断が出来るはずもない。
なんせ、水谷母からの電話なのだから。
『水谷君はお風呂です!!はい、まったく持って暇です!!ご安心ください!!』
『葵が迷惑かけてない?あの子、家事なんてまったくやらないし、機嫌損ねると大変だしで蓮井さんが愛想尽かしてないかな、って思って』